㈱IHIは11月6日、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業である『バイオジェット燃料生産技術開発事業/一貫製造プロセスに関するパイロットスケール試験』において、The Siam Cement Public Company Limited.(サイアム・セメント・グループ、本社:バンコク)および傘下のSCG Cement-Building Materials Co.、 Ltd.(本社:バンコク)の協力のもと、タイでパイロットスケール試験設備の整備を開始すると発表した。
開発事業は、バイオジェット燃料製造の商用化を目指し、バイオジェット燃料生産において複数ある技術の1つとして、微細藻類由来のバイオジェット燃料を一貫製造するプロセスに関する技術開発を行うもので、IHIは、神戸大学と共に取り組む。
IHIは、これまでにもNEDOの委託事業(※1)を含め、高速増殖型ボツリオコッカス株(※2)を用いて研究開発を行ってきた。 2015年度には屋外大規模培養(培養池面積1、500m2)に成功している。
今回、タイでは、より規模を拡大し、10,000㎡規模の培養池を含むプラントを設置し、パイロットスケール試験を実施する。また、より高効率な工業化のための課題の抽出とその対策を検討し、安定的な長期連続運転や製造コストの低減などの実現可能性を検証する。
場所:タイ サラブリ県 (サイアム・セメント・グループ所有の敷地内)
試験期間:平成29年度~平成30年度(2017年度~2018年度)
IHIでは、開発事業を通してバイオジェット燃料製造の実用化を実現させることにより、航空分野におけるジェット燃料に起因するCO2排出量削減へ寄与することを目指していく。
(※1)IHIは、国立大学法人神戸大学および株式会社ちとせ研究所と、NEDOの委託事業「戦略的次世代バイオマスエネルギー利用技術開発事業」において、平成24~28年度(2012年度~2016年度)の期間で微細藻(ボツリオコッカス)由来バイオ燃料製造に係る要素技術の開発を行い、鹿児島県鹿児島市七ツ島の屋外大規模培養設備(培養池面積:1、500m2)にて、バイオ燃料用微細藻類の安定培養に成功している。
(※2)高速増殖型ボツリオコッカス:石油代替燃料の原料となる炭化水素油を藻体の50%以上含有する藻類で、増殖性が高いという点に特徴がある。