ファナックは10月18日、同社のワイヤカット放電加工機であるロボカットα-CiBシリーズの加工精度を高める「AI熱変位補正機能」を、㈱Preferred Networks (東京都オフィス:千代田区、以下PFN)と共同開発したと発表した。同機能を搭載するロボカットは、ファナックとPFNの協業後、初めての「AI機能搭載商品」となる。
ファナックとPFNは、製造業向けのAI機能の開発で2015年から協業*1、資本提携し*2、ファナックの商品の性能向上や稼働率向上に有効なAI機能の共同開発を進めてきた。今回開発したAI熱変位補正機能では、ワイヤカット放電加工機の温度変化による加工精度変動をAI(機械学習)技術を活用して予測・制御し、補正精度を従来機能比で約30%改善した。同機能は、小型から大型のワークまで適用可能。
このAI熱変位補正機能はロボカットのオプション機能として提供され、今年11月より受注開始の予定。また、同機能を搭載したロボカットを、メカトロテックジャパン2017(10月18日~10月21日にポートメッセなごやで開催)に出品する。さらに、同様の機械学習を用いたロボドリル版「AI熱変位補正機能」についても開発を進めており、近々提供を開始する予定。両社は、今後も共同でAIによる製造現場の改善・革新を目指していく。
PFNの西川徹社長は、「ファナックとの提携後、機械学習技術を活用した初めての商品を発表できることをうれしく思います。今回、製造業で重要な課題の一つである、制御パラメータの最適化に対して、機械学習技術の活用が有効であることを示すことができました。PFNは今後も機械学習・深層学習の技術を応用して、工作機械やロボットの知能化に貢献してまいります。」と述べている。
*1 株式会社Preferred Networksとの協業に関するお知らせ
*2 ファナック株式会社および株式会社 Preferred Networks の資本提携に関するお知らせ