■しゅん工後はビッグデータを活用した技術開発に取り組む
日立造船・㈱奥村組(大阪市阿倍野区)による特定建設工事共同企業体は10月2日、東京二十三区清掃一部事務組合(東京都千代田区、管理者:西川 太一郎荒川区長、以下、清掃一組)向け、杉並清掃工場建替工事を完工したと発表した。
この案件は、杉並清掃工場の設備全体が老朽化したことによる既存工場の解体及び新たな清掃工場の建設工事で、「地域にとけ込み、信頼される清掃工場」をコンセプトに、①住民に信頼される安全・安心の清掃工場、②住民に親しまれる開かれた清掃工場、③住民が心やすらぐ環境にやさしい清掃工場、の3点を基本方針として清掃一組が計画したもので、2012年に日立造船と奥村組の共同企業体が工事を請け負った。
施設は、ごみの焼却時に発生する廃熱を利用した高効率ごみ発電プラントで、約24,000kWを発電し、場内利用するとともに売電する。
<工事概要>
発注者:東京二十三区清掃一部事務組合(千代田区飯田橋、管理者:西川太一郎荒川区長)
工事名:杉並清掃工場建替工事
施設規模:ストーカ炉(600t/日=300t/日×2炉)
所在地 :東京都杉並区高井戸東三丁目7番6号
受注金額:251億円(税抜き)
■プラント運転管理におけるビッグデータの活用
清掃工場のしゅん工後は清掃一組が管理運営するが、清掃一組と日立造船は2016年に清掃工場における制御技術の高度化に係る調査、研究および技術開発等の分野で協力することで合意している。
日立造船は、同清掃工場において、従来のプラントの運転データに加え、運転予測、異常の前兆検知、機器の寿命予測等に欠かせない多種多様なデータを収集し、ビッグデータ解析を行う。これらをもとにして、運転条件の変化に適応しながら最適に制御していく自律制御および機器の稼動データをもとにした予兆診断を行うサービス等を開発し、より高度な最適運転管理システムを構築する。
また、燃焼状態を画像から判断して最適運転を行う「CoSMoS(*1)」、ごみバンカ内を3次元的に解析し、ごみ質の安定化を図る「ピット&クレーン3次元自動運転管理システム」、SPring-8(*2)向けMADOCA II(*3)をベースにJASRI(*4)と共同開発した「ビッグデータ管理システム」等の新技術を杉並清掃工場へ集中投入し融合することで、次世代のごみ焼却発電プラントとしての革新的な運転管理技術を提供する。