kikai-news.net

住友商事、米国西海岸で硫酸タンクターミナル事業、総建設費は約20億円

 住友商事は9月21日、100%子会社であるINTERACID TRADING S.A.(スイス ローザンヌ市、以下ITSA)の米国事業会社SULPHURIC ACID TRADING COMPANY, INC(米国フロリダ州タンパ、以下SATCO)を通じて、米国西海岸カリフォリニア州ストックトン港と土地リース契約で合意、同港に新たに硫酸タンクターミナルを建設すると発表した。ターミナルは硫酸タンク3万トンのほか希釈設備や貨車・トラックの出荷設備も備え、総建設費は約20億円となる予定。2017年内に建設に着手し、2019年初からの操業開始を計画している。

 建設予定地であるストックトン港は、サンフランシスコ湾より東方100kmに位置し、主に肥料、穀物、セメント、鋼材、石炭などの輸出入港として年間取扱数量400万トンを誇る、米国西海岸における主要港。米国西海岸では今後、農業、鉱業および工業用途を中心に硫酸需要の増加が見込まれており、ストックトン港はそれらの需要家への良好なアクセスを実現する。ターミナルは米国西海岸一帯で唯一の硫酸受入れ拠点となり、住友商事はターミナルの運営を担うSATCOを通じて、米国西海岸の需要家に対して年間20万トンを超える硫酸の販売を目指していく。

 米国最大の農業地帯であるカリフォルニア州は、農地の土壌改良を目的に硫酸が広く使用されている。昨今、慢性的な水不足に悩む同地域では、水分配効率の高い点滴灌漑方式の導入が進んでおり、硫酸は灌漑用水を点滴灌漑に適した水質に調整するためにも使用されている。住友商事はターミナルを活用して、農家の効率的な水使用を助ける硫酸を安定的に供給することで、地域と産業の発展への貢献を目指す。また、鉱業向けや水処理剤、肥料製造用途への販売も拡大していく。

 ITSAは1970年に化学品トレード会社としてスイスにて創業し、住友商事が1993年に株式の100%を取得以降、20年余にわたり国際的に硫酸トレード事業と米国、チリおよび豪州の硫酸タンクターミナルを中核とした事業を幅広く展開してきた。現在、グループの保有タンクは12基22万トンを超え、年間300万トン近くの硫酸を取り扱う硫酸業界のメジャープレーヤー。住友商事は、引き続き、硫酸トレード事業とタンクターミナル事業のシナジーを追求し、更なる事業成長を目指していく。

■硫酸とは、化学式H2SO4で示される無色・無臭、酸性の液体。主に硫黄の焙焼や非鉄製錬工程の副産品として産出される。世界の年間生産量は約2億4,000万トンであり、世界で最も大量に生産・流通している基礎化学品。主な用途はリン酸系肥料・水処理剤・酸化チタンの製造や非鉄リーチングなど。

<ITSA>

所在地:スイス ローザンヌ市

取締役社長:Adrien Johr

事業内容:硫酸の国際トレード

売上高:6,700万米ドル(2017年3月期連結)

株主:住友商事グループ100%

<SATCO>

所在地:米国 フロリダ州

取締役社長:Brent Shonka

事業内容:硫酸販売・ターミナル運営事業

売上高:1,500万米ドル(2017年3月期単体)

株主:住友商事グループ100%

 ニュースリリース

 

 

モバイルバージョンを終了