大建工業は9月19日、連結子会社であるDAIKEN NEW ZEALAND LIMITED(ダイケンニュージーランド社)がニュージーランドでMDFの製造・販売を手掛けるDongwha New Zealand Limited(ドンファ・ニュージーランド社)の株式を取得、子会社化(大建工業の孫会社化)すると発表した。実行日は12月下旬を予定。また、取得株式数は約1,670万株、取得価額は第三者機関による株式価値を勘案して決定するとしているが、100億円前後との報道もある。
大建工業は、サステイナブルな視点で木質資源や鉱物資源を有効活用した様々な素材を製造・販売するエコ事業を中核事業の一つに据え、事業活動を展開している。
エコ事業の中でも中核となるMDFは、製材端材などを主原料とし、それらを繊維状にしたものを板状に成型して製造される木質ボードの一種。家具や建具、内装製品などの面材や基材に用いられるなど、その用途は多岐にわたり、南洋材合板の代替資材として様々な分野で使用されている。近年、国内外の市場ともにその需要は増加傾向にあり、特に国内市場ではフロア台板向けや構造用面材向けのMDFの需要増が見込まれている。
現在、大建工業はダイケンサラワク社(マレーシア・サラワク州ビンツル)、ダイケンミリ社(マレーシア・サラワク州ミリ)、ダイケンニュージーランド社(ニュージーランド・ランギオラ)の海外3工場体制で、年間42万㎥のMDFを製造。これに業務提携しているホクシン㈱が日本国内で製造するMDFを加えた年間約62万㎥のMDFを、日本を中心に東南アジアや北米などに供給している。日本国内ではトップシェアで、現在、海外3工場ともにフル生産体制で需要拡大に対応している。
■MDF工場買収の目的
今回、買収するドンファ・ニュージーランド社は、ニュージーランド インバーカーギルに工場を構え、ニュージーランド産のラジアタパインを主原料とする針葉樹系のMDFを生産している。生産能力は年間20万㎥。うち4.5万㎥はアメリカ向けで、日本向けは4.2万㎥、その他としてニュージーランド国内や中国、インドネシア、インドなどに輸出されている。
ニュージーランドには、2009年に大建工業が設立したダイケンニュージーランド社がある。生産能力はほぼ同等で、主原料も同じであることから、これまで両社で培ってきた製造技術を共有することで、生産性および品質のさらなる向上を図るとともに、原材料の有利購買、生産品目の最適化、経営管理面の合理化など、製品面・販売面の競争力強化に大きなシナジー効果が期待できる。
2016年からスタートした中期経営計画の最大のミッションは、「住宅用建材のメーカー」から「建築資材の総合企業」へと飛躍するための基盤を構築すること。その実現に向け、海外市場を重点市場の一つとして位置づけ、積極的に経営資源を投入することを基本方針に掲げている。このほどMDF工場の株式取得により、エコ事業のグローバル化と、海外市場での販売拡大を進めていく。