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MHPS、セルビアで世界最大級の排煙脱硫装置(FGD)を2基受注

■出力130kWのニコラ・テスラA石炭火力発電所向け、西バルカン諸国で2件目

 三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は9月11日、セルビア共和国のニコラ・テスラANikola Tesla A)石炭火力発電所向けに、世界最大級の排煙脱硫装置(FGDFlue Gas Desulfurization)を2基受注したと発表した。同装置を追設することにより二酸化硫黄(SO2)と煤塵の排出を削減し、同国の将来の欧州連合(EU)加盟を視野に入れたEU環境基準への適合に寄与する。同装置の運転開始は2021年前半の予定。MHPSが西バルカン諸国でFGDを受注するのは、20167月に受注したボスニア・ヘルツェゴビナのウグレヴィック(Ugljevik)石炭火力発電所向けに続き今回が2件目で、同国向けでは初めて。

 ニコラ・テスラA発電所は、首都ベオグラードの南西約40kmに位置している。発電出力は16号機計172kWでセルビア電力公社(Public Enterprise Electric Power Industry of Serbia)が運営する同国最大の発電所。今回受注の2基のFGDは同発電所36号機の計130kW向けとなる。MHPSをリーダーとして、欧州拠点法人、伊藤忠商事および現地工事会社MPP “JEDINSTVO” a.d.JDS:ユデンスポ)とコンソーシアムを組んで受注した。資金は国際協力機構(JICA)の円借款(政府開発援助)により供与される。

 MHPSはプロジェクトマネジメント、基本設計、および主要機器の納入・据付指導などを手掛け、伊藤忠商事は商務関連業務などを担当。JDSが土建・据付工事や現地調達を受け持つ。1基当たり65kW規模の排煙処理が可能なFGDは、MHPSの呉工場(広島県呉市)で設計取りまとめを行う。

  ニコラ・テスラA発電所は、硫黄含有率や灰分が高く発熱量が低い褐炭を燃料としており、MHPSFGDを追設することでSO2と煤塵を削減する。SO2は排出量の97%を削減し、EUの産業排出指令(IEDIndustrial Emission Directive)基準に適合する200mg/Nm³(注)以下に抑制する。MHPSが有する褐炭焚きボイラー向けFGDの技術や、全世界で300基以上となる納入実績が高く評価され、今回の受注につながった。

 MHPSは今後も、排出規制強化の流れに伴い需要拡大が見込める欧州地域をはじめとする世界市場で、高性能かつ高効率な脱硫・脱硝システムや集塵機、また、これらを組み合わせた総合排煙処理システム(AQCSAir Quality Control System)を積極的に提案し、環境負荷低減に貢献していく。

(注)Nm³は温度・圧力の変化により体積が変化する気体(ガス)を、標準状態(0℃1気圧)に換算した際の体積を表す単位。

 ニュースリリース

 

 

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