近年、4K・8K実用放送(以下、高度BS放送)や、データ放送の実現など、放送サービスの高度化が推進されている動きの中、須高ケーブルテレビは2018年12月に開始予定の高度BS放送対応に向けたネットワークインフラとして、光ファイバを利用したFTTH(*1)へ施設更改することを決定。1989年の開局以来利用してきた光同軸伝送路(HFC)からの変更になる。
住友電工は、FTTH化の構想検討段階から技術支援を行い、光伝送機器を有効に配置するための伝送路の設計および施工まで含めて提供、今後さらに推進される高度放送サービスに対応できる設計にした。
高度BS放送の伝送方式は、(1)770MHz以下の光同軸伝送路で提供できるトランスモジュレーション方式、(2)1GHz以上の衛星からの信号をそのまま伝送するパススルー方式、があり、住友電工はいずれも対応可能。また、従来BS放送では右旋を使用していたが、2018年末からは左旋も使用できるようになる。今回使用する放送信号を伝送する光送信機は右旋・左旋どちらにも対応可能な2.68GHzに対応、これにより全家庭に超高速IP信号と、広帯域RF(高周波)信号を同時に提供できる。
さらに、住友電工の10G-EPONは大型・小型のシャーシを用意しており、サービスを利用する顧客数に応じて製品を設置することができる。今回、須坂・小布施地域をカバーする本社センターには、大型シャーシのFSU7101を、高山村サブセンターには小型シャーシのFSU7102を設置する。これにより、設置スペース及び電源容量の効率化を図る。
同事業によりインターネットサービスの最高速度を現状の160Mbpsから一気に10Gbpsに引き上げることが可能となり、超高速のインターネットサービスをはじめ、移行が検討されている放送のオールIP化や4K、8K放送の完全な対応が可能となる。
長野県はケーブルテレビ先進県として数多くの事業者が存在するが、住友電工が最先端の10G-EPON装置を納入するのは、須高ケーブルテレビが初めて。また、同事業エリアの一部、高山村においては、総務省より「ケーブルテレビネットワーク光化促進事業」に選定され、光化支援の補助金交付を受けることも決した。これは、全国で10団体、長野県では2団体のみが選定された中の1つ。
2017年10月より着工開始、2018年4月から順次、須高ケーブルテレビでのサービス提供が開始される予定。住友電工は、高度BS放送に関わる製品ラインナップの充実を進めることで、今後もケーブルテレビの発展に積極的に取り組んでいく。
■須高ケーブルテレビ 丸山康照代表取締役社長からのコメント
地域BWA(*2)やWi-Fiなど無線網との連携や、オールIP化を視野にいれた放送網の充実さらに4K・8K放送へのフル実装などといった放送通信基盤の整備は喫緊の課題となっています。今回の全面光化が地方創生の大きな起爆剤として地域活性化に寄与し、住友電工が真にお客様に喜んでもらえる企業として存在できるよう住友電工のソリューションに最大限の期待をしています。
*1 FTTH:Fiber To The Home
*2 地域BWA(Broadband Wireless Access):地域の公共サービスの向上やデジタル・ディバイドの解消など、地域の公共の福祉の増進に寄与することを目的に、2.5GHz帯の周波数の電波を使用した電気通信業務用の無線システム。