三菱重工グループの三菱重工メカトロシステムズ(MHI-MS、本社:神戸市兵庫区)は9月4日、中国の江蘇政田重工股●有限公司(江蘇政田、Jiangsu Masada Heavy Industries Co., Ltd.)にホースハンドリングクレーンおよびコンテナ船向けスリム型デッキクレーンの製造・販売権を供与することで合意し、ライセンス契約を締結したと発表した。江蘇政田へのライセンス供与は、2008年のバルクキャリア向けデッキクレーン、2012年の甲板機械ならびに舵取機(※1)に次ぐもので、さらに充実した製品ラインアップにより、船舶建造量で世界一の中国市場における三菱重工グループ技術による舶用機械製品のシェア拡大につなげていく。●=にんべんに分。
今回製造・販売権を供与するホースハンドリングクレーンは、つり上げ荷重10トン、15トン、20トンの3シリーズで、主にMR型(※2)以上のタンカーに搭載されるもの。また、コンテナ向けスリム型デッキクレーンは同45トンシリーズを供与する。
今回のライセンス契約により、江蘇政田はデッキクレーン、舵取機、甲板機械にホースハンドリングクレーンを加えた4製品を、三菱重工グループの技術によるものとして供給できることとなる。主力製品であるバルクキャリア向けデッキクレーンに、タンカー向けホースハンドリングクレーン、コンテナ向けデッキクレーンが追加されることで、より広範な需要への対応が可能となる。
江蘇政田は、2005年にウインチ製造会社である政田鉄工(本社:大阪市西区)と江蘇省の産業機械製造会社の合弁により設立された舶用機械の製造会社で、江蘇省南通市に本社を構えている。デッキクレーン、甲板機械、舵取機ともにグループ会社に事業を移管する以前の三菱重工業とライセンス契約を締結して以来、生産能力を増強しながら順調に生産台数を伸ばしてきている。2019年には敷地面積約24万5,000㎡の新工場を稼働開始させる計画で、さらなる事業拡大に向けて意欲的に取り組んでいる。
ホースハンドリングクレーンは、石油などの液体貨物を海上輸送するタンカーに搭載され、陸側の液体貨物移送用ホースを船舶側のタンク接続部に接続する際のホースハンドリングの際に使用されるもの。三菱重工は1974年に初号機を完成させており、高い信頼性と耐久性、優れた応答性において顧客から高い評価を得て、豊富な実績を誇っている。また、45トンスリム型デッキクレーンは、クレーン施設が整備されていない埠頭でのコンテナ積み下ろしを行う小型コンテナ船に搭載されるもの。コンテナ船のコンテナ積載数をできるだけ多く確保できるよう、本体は通常のデッキクレーンに比べてコンパクトになっている。
※1 舵取機は三菱重工マリンマシナリ(本社:長崎市)の取り扱い製品で、同社が江蘇政田にライセンス供与している。
※2 MRはミディアムレンジを表し、2万5,000~5万5,000重量トンサイズのタンカー。