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長瀬産業、東洋紡と耐熱性ポリイミドフィルムの生産・販売合弁会社、東洋紡敦賀に新工場

■フレキシブルディスプレー事業強化

 長瀬産業は8月23日、東洋紡とガラスやシリコンウエハーと同等で、ポリマーフィルムとして世界最高レベルの寸法安定性を持つ、東洋紡の耐熱性ポリイミドフィルム「ゼノマックス(R)」の生産・販売会社を設立すると発表した。生産工場を東洋紡敦賀事業所(福井県敦賀市)内に建設し、今後、電子回路基板材として、既に採用されている電子ペーパーディスプレーに加え、有機EL などのフレキシブルディスプレーやセンサー向けに用途を展開する。長瀬産業は東洋紡との協業のもと、高性能・高耐熱フィルムの市場ニーズに応え、早期に100 億円規模の事業の構築を目指す。

 長瀬産業の電子資材事業部は、国内外のネットワークを活用し、スマートフォン・タブレット端末事業のグローバル展開を図るブランドオーナーおよび資材サプライヤー向けに、表示デバイス周辺材料・筐体、内部部材、LED 照明部材、さらにはレンズ等の光学部品の販売、メーカー機能としてガラス加工、難燃絶縁/熱伝導シートの事業を行っている。表示デバイス関連事業では有機EL ディスプレー、電子ペーパーディスプレーのフレキシブル化やマイクロLED 等の次世代ディスプレーを今後の成長マーケットと位置付け、新技術に積極的に投資を行う予定。

 東洋紡は、米国の研究機関であるミシガン・モレキュラー・インスチテュート(Michigan Molecular Institute)から独占実施権を得た技術と、東洋紡の持つ高耐熱ポリマーの合成技術やフィルム製膜技術を融合させ、従来のポリイミドフィルムでは不可能だった、ガラス基板と同等の高い寸法安定性を実現した。コーポレート研究所を中心に開発を進め、製品化に成功した。これにより、400~500℃の高温下で加工が必要なTFT の基板材として使用することが可能になった。これまで、研究所内のパイロット生産設備で製造し、電子ペーパー向けのTFT の基板材として使用されてきた。

 今後、電子ペーパーディスプレー向けTFT 基板材の需要増に対応するとともに、「薄い」、「軽い」、「割れない」、「曲がる」などのフィルムの特性を生かし、フレキシブルな有機EL ディスプレーや各種センサー用途に加え、ガラスやシリコンウエハー、セラミックなどに代わる基板材料として展開を図る。

■ゼノマックス(R):室温から500℃まで熱膨張係数(寸法安定性を表す指標。数値が低いほど寸法安定性が高い。)が約3ppm/℃と一定で、ポリマーフィルムとして世界最高レベルの寸法安定性を持つポリイミドフィルムで、東洋紡の登録商標。

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