三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は8月23日、中国の鉄鋼企業である鞍山鋼鉄集団有限公司(Anshan Iron & Steel Group Corporation)の第2発電所向けにM701S(DA)X形ガスタービンおよび発電機を受注したと発表した。出力18万kW級の高炉ガス焚きガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)発電設備の中核機器となるもので、運転開始は2019年前半の予定。
今回のガスタービンおよび発電機は、鞍鋼集団国際経済貿易公司から受注したもの。遼寧省鞍山市の製鉄所に隣接するボイラーを用いた既存発電設備を、高効率のGTCC発電設備に更新するプロジェクト向けで、高炉およびコークス炉から発生する副生ガスを有効利用して、工場内の電力の一部を賄う計画。
高炉ガス焚きGTCC発電設備は、M701S(DA)X形ガスタービン、排熱回収ボイラー、蒸気タービン、発電機、ガスコンプレッサー、各種補機などで構成される。MHPSはこのうち、ガスタービン、発電機、ガスコンプレッサーのほか、電気集じん機、減速機などの補機を供給する。取扱商社は三菱商事で、発電機は三菱電機製を採用する。
MHPSは2007年に中国初となる高炉ガス焚きGTCC発電設備を同発電所向けに納入しているほか、2008年にも営口地区の発電所に同様のGTCC発電設備を納入している。今回の受注は、MHPSガスタービンの優れた性能とこれらの実績が高く評価されたことによるもの。
パリ協定を含む世界的な環境保全の流れを背景に、製鉄業界でもCO2排出量の削減が強く求められている。高炉ガス焚きGTCCは、製鉄所から発生する副生ガスを有効利用することで、環境負荷低減に力を発揮するだけでなく、エネルギーの有効利用にも大きく貢献する。
高炉ガスは天然ガスに比べてカロリーが低く、安定燃焼には高度な技術が要求される。MHPSは1980年代に専用の燃焼器を開発するなどして独自の高炉ガス焚きGTCC発電技術を確立、以来、国内外の製鉄所に数多く納入して、世界市場の6割超という世界トップのシェアを誇っている。