■中国の建機向け油圧機器やロボットなどが増加
川崎重工業が7月31日に発表した2018年3月期第1四半期(4~6月)連結業績によると、受注高は前年同期比139億円増の2,725億円、売上高は同45億円減の3,353億円、営業利益は同110億円減の49億円、経常利益は同3億円減の54億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同15億円減の32億円となった。また、2018年3月期連結業績については前回(4月27日)公表値を据え置いた。
受注高は、船舶海洋、精密機械を中心に増加となった。売上高は、ガスタービン・機械や精密機械が増収となる一方で、船舶海洋、航空宇宙、プラント・環境が減収となったことなどにより、全体では前年同期並みとなった。営業利益は航空宇宙、モーターサイクル&エンジン、船舶海洋などの減益により、全体で減益となったが、経常利益は為替差益などの影響で前年同期並み。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期にあった特別利益がないことなどから減益となった。以下、事業部門別の概況。
<船舶海洋> 受注高は、LPG運搬船やジェットフォイルの受注により、前年同期に比べ110億円増加の133億円。売上高は、LPG運搬船や修繕船の工事量減少などにより、前年同期に比べ114億円減収の197億円。営業損益は、減収および建造コストの増加、前年同期に貸倒引当金戻入益があった影響などにより、前年同期に比べ34億円悪化して28億円の営業損失となった。
<車両> 受注高は、東京都交通局向けリニア式地下鉄車両を受注した前年同期に比べ121億円減少の111億円。売上高は、国内向けは増加したものの、シンガポールなどアジア向けの減少などにより、前年同期に比べ3億円増収の291億円。営業損益は、高採算案件の減少などにより、前年同期に比べ16億円悪化して9億円の営業損失となった。
<航空宇宙> 受注高は、防衛省向けの増加などにより、前年同期に比べ53億円増加の470億円。売上高は、防衛省向けが増加したものの、民間航空機向け分担製造品の減少などにより、前年同期に比べ67億円減収の733億円。営業利益は、減収および民間航空機向け分担製造品の収益性低下などにより、前年同期に比べ57億円減益の37億円となった。
<ガスタービン・機械> 受注高は、航空エンジン分担製造品の増加などにより、前年同期に比べ76億円増加の583億円。売上高は、航空エンジン分担製造品の増加やガスエンジン発電所にかかる工事量増加などにより、前年同期に比べ114億円増収の605億円。営業利益は、増収により前年同期に比べ10億円増益の43億円となった。
<プラント・環境> 受注高は、国内向けシールド掘進機の受注などがあった前年同期に比べ28億円減少の151億円。売上高は、海外向け化学プラントの工事量減少などにより、前年同期に比べ62億円減収の255億円。営業損益は、減収により前年同期に比べ12億円悪化して6億円の営業損失となった。
<モーターサイクル&エンジン> 売上高は、先進国向け二輪車や汎用エンジンが増加したものの、新興国向け二輪車や先進国向け四輪車の減少により、前年同期に比べ15億円減収の677億円。営業損益は、減収およびモデルミックスの変動などにより、前年同期に比べ36億円悪化して33億円の営業損失となった。
<精密機械> 受注高は、建設機械市場向け油圧機器の増加により、前年同期に比べ97億円増加の428億円。売上高は、建設機械市場向け油圧機器や各種ロボットの増加などにより、前年同期に比べ88億円増収の418億円。営業利益は、増収により前年同期に比べ24億円増益の45億円となった。
<その他> 売上高は、前年同期に比べ6億円増収の174億円。営業利益は、前年同期並みの6億円となった。
セグメント別業績と見通し→川崎重工2017年第1四半期セグメント別状況と業績見通し