■中国でのGPFの生産能力を約6倍に増強
日本ガイシは7月26日、ガソリン車用のPM(粒子状物質)除去フィルター「ガソリン・パティキュレート・フィルター(GPF)」の需要拡大に対応するため、製造子会社NGK(蘇州)環保陶瓷有限公司(中国江蘇省蘇州市)の第2工場を新たに建設することを決定したと発表した。2019年12月に生産を開始し、中国でのGPFの生産能力を約6倍に大幅増強する。
NGK(蘇州)環保陶瓷は中国向け自動車排ガス浄化用セラミックスの生産拠点として2001年に設立、2003年から生産を開始した。需要拡大に伴い生産能力と品目を段階的に増やし現在は、自動車排ガス浄化用触媒担体「ハニセラム」など3品目を生産しており、2018年4月からはGPFの生産も開始する予定。中国では今後も、GPFのさらなる需要拡大が見込まれるうえ、既存拠点には拡張の余地がないことから、第2工場を建設しGPFの生産能力を増強することを決定した。
第2工場は既存拠点の近隣(東方約2km)に建設する。2019年12月に生産を開始する計画で、新工場の稼働により中国でのGPFの生産能力を既存拠点と合わせて約6倍に増強します。設備投資額は約330億円を予定している。
GPFはガソリンエンジンから排出されるPMを除去するセラミックフィルターで、ディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)の技術をベースに開発を進め、2016年1月からポーランドの製造子会社NGKセラミックスポーランド(ポーランド・シロンスク県グリヴィツェ市)で量産している。中国では自動車の排ガス規制が強化されており、2020年には欧州の「ユーロ6」に相当する厳しい排ガス規制「国6」が全国で適用される予定。国6ではディーゼル車に加えガソリン車にもPM排出粒子数(PN)規制が適用されるため、PMを除去するフィルターが必要になるとされている。
日本ガイシは現在、自動車排ガス浄化用セラミックスの生産拠点を世界8カ国10カ所(※)に展開している。2018年4月にはタイの新拠点が稼働予定で、NGK(蘇州)環保陶瓷第2工場は9カ国12カ所目になる。日本ガイシは今後も、自動車排ガス浄化用セラミックスの世界的な需要拡大に応じた増産設備投資を行い、効率的かつ安定的なグローバル生産・供給体制を構築していく。
※日本(本社、石川工場)、ベルギー、米国、インドネシア、南アフリカ、中国、ポーランド(2工場)、メキシコ
<NGK(蘇州)環保陶瓷第2工場の概要>
所在地:中華人民共和国江蘇省蘇州市高新区長江路
生産品目:ガソリン・パティキュレート・フィルター
敷地面積:約72,000㎡
建築面積:約34,000㎡
延床面積:約79,000㎡
投資額:約330億円
工事期間:2017年8月~2020年9月
生産開始:2019年12月(予定)
画像上:第2工場完成予想図
画像下 ガソリン・パティキュレート・フィルター(GPF)