JFEスチールは7月10日、フェロコークスの製造プロセス技術開発の一環として、同プロセスのパイロットプラントを、西日本製鉄所(福山地区)に建設することを決定したと発表した。事業総額は約201億円で、建設費用は約150億円を予定している。
フェロコークスは、一般炭と低品位鉄鉱石の混合成型・乾留により製造される。フェロコークス中に含まれる金属鉄の触媒作用を活用して、高炉内の還元効率を飛躍的に高めることで、従来よりも高炉内に入れるコークス量を削減することができる、省エネルギー技術。
今回建設予定のパイロットプラントは、製造量300トン/日規模の中規模製造設備で、新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO)による「環境調和型製鉄プロセス技術の開発/フェロコークス活用製銑プロセス技術開発」プロジェクトとして、建設する。
実高炉内において、フェロコークスを長期的に連続使用した際の、高炉の還元材比や操業安定性に及ぼす影響を評価する計画。ここでの実証研究を経て、高炉使用時の二酸化炭素排出量の大幅削減、省エネルギー、劣質石炭・鉱石使用による、資源対応力強化を目的としたフェロコークス製造技術を開発し、2022年頃までに製銑プロセスのエネルギー消費量10%削減技術の確立を目指す。
なお、スチール研究所内にフェロコークスプロジェクト推進班を新設し、同プロジェクトの確実な推進、および安全管理を徹底しているとしている。
<事業概要>
1.総額:約201億円(予定) 助成率1/2
2.期間:2017年~2021年
<建設概要>
1.費用:約150億円(予定) 助成率1/2
2.期間:2017年度~2019年度上期
<フェロコークス>
フェロコークスとは、高炉内で起こっている鉄鉱石還元反応の効率自体を改善し、二酸化炭素の発生量を大幅に削減する革新的な高炉原料。石炭と鉄鉱石を事前に粉砕・混合・成型し、連続式の乾留炉で加熱することで、内部の鉄鉱石を金属鉄に、石炭をコークスにした複合塊成物。フェロコークスに使用する原料として、従来に比べて、品位の低い石炭や鉄鉱石の使用割合を大幅に増加できる。
高炉では、通常のコークスの一部をフェロコークスで置き換えて使用する。操業中の高炉内では、一酸化炭素(CO)による鉄鉱石(焼結鉱)の還元反応の進行により、二酸化炭素(CO2)が発生している。
フェロコークス内部に含まれている超微粒の金属鉄は、このCO2がコークス(C)と反応し、還元ガス(CO)を再生成する反応(C+ CO2=2CO)の触媒(*1)となり、反応速度を大幅に向上させる。
その結果、CO濃度が上昇、鉄鉱石(焼結鉱)の還元反応は低温度でも進行するようになり、還元材比の大幅な低減が期待でき、CO2排出削減、省エネに寄与する。