東アフリカの玄関口モンバサ港周辺のインフラ整備を通じ、 物流の円滑化に貢献
国際協力機構(JICA)は、7月4日、ケニアの首都ナイロビで同国政府との間で、「モンバサ港周辺道路開発事業(第二期)」を対象として124億6,600万円を限度とする円借款貸付契約(Loan Agreement: L/A)に調印したと発表した。
事業は、東アフリカの玄関口であるモンバサ港周辺において、コンテナターミナルから東アフリカ北部回廊(注1)に接続する道路、及びモンバサ南部地域へのバイパス道路を建設することにより、モンバサ港を中心とする物流の円滑化を図り、ケニアのみならず近隣諸国を含む東アフリカ地域全体の経済社会発展に寄与することを目的としている。本件にかかる貸付資金は、道路や橋梁の土木工事及びコンサルティング・サービス(詳細設計、入札補助、施工監理等)に充当される。
東アフリカ最大の貿易港であるモンバサ港は、ケニアのみならず東アフリカ諸国の物流の拠点として貨物取扱量が近年急増している。これに対応すべく、2016年2月にはJICAの円借款による支援を受けた新コンテナターミナルが完成し、貨物の取扱容量が増加している。モンバサ南部地域では経済特区の整備計画も進んでいるため、今後モンバサ港などで取り扱われる貨物を運搬する車輌の交通量が増加すると見込まれている。
他方、現状では港湾設備や港湾周辺の運輸インフラの整備が不十分であることから、特にモンバサ港から東アフリカ北部回廊に繋がるいくつかのアクセス道路での渋滞が恒常化するなど、円滑な物流が阻害されている。また、現在モンバサ中心部から南部地域への移動手段はフェリーのみであり、ケニアの隣国タンザニア方面への物流や南部地域の開発の障害となっている。
同事業による道路・橋梁整備により、これまでモンバサ北部から南部までの移動所要時間が約70分であったところ、約15分まで短縮することが可能となる見込み。
JICAは、ケニアにおいて技術協力「道路維持管理業務の外部委託化に関する監理能力強化プロジェクト(フェーズ3)」(2016-2019年)を実施しており、同事業完成後の道路の維持管理においては、同技術協力により策定を支援している外部委託契約の標準入札書類などが活用されることが期待される。
なお、同事業に対しては、第一期(2012年6月承諾、276億9,100万円)の円借款を供与済であり、今次円借款は第二期分として供与するもの。
(注1)モンバサ港を玄関口とし、ケニアの首都ナイロビを経て、ウガンダの首都カンパラ、さらにはルワンダ、ブルンジまでをつなぐ東アフリカで最大の輸送量を誇る国際経済回廊。