国際協力機構(JICA)は6月30日、ドゥシャンベでタジキスタン共和国政府との間で、「ドゥシャンベ変電所整備計画」を対象として21億9,000万円を限度とする無償資金協力の贈与契約(Grant Agreement: G/A)を締結したと発表した。
同事業は、タジキスタンの首都ドゥシャンベ市において、首都における変電所施設の整備を行うことにより、電力供給の安定化を図り、もって持続的な経済・社会発展に寄与するもの。
タジキスタンでは、国内の総発電容量の約9割を水力発電に依っているが、冬季には河川の凍結や流量低下により、水力発電所の出力が夏季の約7割にまで低下する。しかし、冬季には、電力供給量の減少に反して暖房設備の使用等により電力需要が急増することから、ドゥシャンベ市内では冬季に多くの電力不足が発生している。
一方、変電所をはじめとする電力流通設備の多くが、旧ソ連邦時代に建設されたまま設備が更新されず、需要の増加に合わせた増強が行われていない。そのため、設備の経年劣化が進むとともに、修理部品の入手が困難になりつつある。また、需要の増加により設計基準を超える負荷が生じた際には設備が非常停止し、停電が頻発しており、変電所の老朽化及び不足が電力安定供給のボトルネックとなってる。
同事業は、老朽化した既設変電所の全面更新及び電力需要が急増する地区における変電所新設を行うものであり、事業を通して電力供給の安定化が期待される。