住友商事と三菱日立パワーシステムズ(本社:神奈川県横浜市、MHPS)は6月21日、チュニジア電力・ガス公社との間で、チュニジア共和国ベンナラス県ラデスにおける発電容量450メガワットのガス焚き複合火力発電所の土木据付込み一括請負契約(EPC契約)を締結したと発表した。総事業費は約380億円で、資金は国際協力機構の円借款によって賄われる。
発電所の建設予定地は、チュニジアの首都チュニスから10キロメートル東に位置しており、稼働開始後にはチュニジア総発電容量の約1割を担う予定。高効率で温室効果ガス排出量が少ないガスタービン・コンバインドサイクル発電(GTCC)を採用し、2019年5月の一部先行運転開始および2020年4月の全プラント運転開始を目指す。
発電所の建設において、住友商事は発電設備の周辺機器供給ならびに土木据付工事を手掛ける。MHPSは、M701F形ガスタービン、排熱回収ボイラー、蒸気タービンを供給するほか、据付・試運転期間中の指導員を派遣する。発電機は三菱電機製を採用する。また別途、MHPSの欧州拠点法人が6年間の保守契約を結ぶ。なお、MHPSは1985年にも同地域発電所向けにガス/油焚きボイラー・蒸気タービンを納入した実績を有しており、現在でも高い稼働率で運転されている。
チュニジアは2011年のジャスミン革命による民主化以降、経済成長が加速しており、チュニジアにおいて新規電源開発は喫緊の課題。発電所は、日本政府の推進する「質の高いインフラパートナーシップ」に資する案件として、日本の資金および技術を活用してチュニジアの逼迫する電力需要に応えるとともに、同国の基礎インフラ整備の一翼を担う。
住友商事が世界各国で取り組んできた発電所建設(EPC)の総容量は約50,000メガワットにのぼる。今後、豊富な契約履行実績と経験をもとに、世界規模での電力インフラ関連ビジネスを拡充し、インフラ整備を通じて各国の経済発展に寄与していく。
MHPSは、今後も資源の有効活用と環境負荷の低減に役立つGTCC発電設備をグローバル市場で提案することにより、持続可能性の追求と電力の安定供給に貢献していく。
※EPC:Engineering Procurement and Construction
■発電所建設予定地