日揮は6月2日、テクニップFMC社(Technip FMC)、サムスン重工業社(Samsung Heavy Industries Co. Ltd.)と共同で、コーラルFLNG社(Coral FLNG SA)がモザンビークで計画している洋上LNGプラント(FLNG)建設プロジェクトを受注したと発表した。一部報道によると受注総額は約7000億円規模で、うち日揮の受注分は約1500億円。
同プロジェクトは、コーラルFLNG社が開発を進めるモザンビーク共和国のタンザニア国境沿いにある沖合のガス田向けに、アフリカ地域初となるFLNGプラントを新設するもの。日揮とテクニップFMC社により組成されるジョイントベンチャーは、主にFLNGトップサイドの設計・機材調達、及びプロジェクト全体の管理を担当する。共同受注者である韓国サムスン重工社がFLNG船体のEPCおよびトップサイドのファブリケーションを担当する。
同プロジェクトは、最終投資決定済みのFLNGプロジェクトとしては世界で4件目で、日揮はペトロナス(マレーシア国営石油会社)向けFLNGプロジェクトと合わせ、うち2件のEPCを手掛けることになる。また、同プロジェクトにより建設されるFLNGは、水深2,000メートルを超える深海ガス田向けFLNGプロジェクトとして世界初の事例となり、海洋油ガス業界においては先駆的なプロジェクトとなる。
コーラルFLNG社は2014年に日揮コンソーシアムを含む3グループに対して基本設計(FEED: Front End Engineering and Design)役務を発注し、3グループによる基本設計に基づいた競争入札の結果、日揮コンソーシアムがEPCIC役務一式を受注したもの。日揮コンソーシアムによる受注は、日揮とテクニップFMC社が有するFLNG分野におけるトップクラスの実績と卓越したEPCIC遂行能力、およびサムスン重工業の同分野における高い造船技術によるもので、加えて日揮の高いプロジェクトマネジメント能力に裏打ちされた強力なリーダーシップがFEED役務遂行及びEPC入札において発揮された結果だとしている。
モザンビークでは、近年に入り、大型ガス田が発見され、現在複数の計画が検討されているが、計画の具現化はでプロジェクトが初めてとなる。現在、同国では、複数のLNG、およびその他のガス開発が計画されており、今回の受注が、日揮の同国における事業展開の橋頭堡になるものと期待される。
また、日揮にとってモザンビークを含むアフリカ地域は、中期経営計画「Beyond the Horizon」で掲げるマーケット拡大地域。特にアフリカ近海では多くの未開発の小規模海底油ガス田が存在し、FLNGプラントを含む多数のプロジェクトが計画されている。日揮としては、同プロジェクトを成功裏に完成させ、今後も成長が見込まれるアフリカ地域へのビジネスの拡大を目指すと共に、同地域の更なる産業発展および生活基盤の向上に貢献していくとしている。
<プロジェクトの詳細>
契約先:コーラルFLNG社(Coral FLNG SA)(モザンビーク法人)
(出資比率)
ENI MOZAMBIQUE LNG HOLDING B.V. 50%
CNODC MOZAMBIQUE B.V. 20%
ENH FLNG UM, S.A. 10%
GALP ENERGIA ROVUMA B.V. 10%
KG MOZAMBIQUE LTD. 10%
設置場所:モザンビーク共和国沖コーラルガス田(タンザニア国境沿いの沖約50km 水深2,000m)
契約内容: FLNGプラント(生産能力:年産約340万トン)に係わるEPCIC
(Engineering, Procurement, Construction, Installation and Commissioning:
設計、機材調達、建設工事、据付および試運転)役務
契約形態:ランプサム契約