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日立造船、有明広域行政事務組合向け東部環境センター基幹的設備補修工事が完工

■小規模ごみ焼却施設用パネルボイラ式排熱回収発電システムを初導入

日立造船は4月11日、有明広域行政事務組合向け東部環境センター基幹的設備補修工事を完工し、引き渡しを行ったと発表した。同施設には小規模ごみ焼却施設用パネルボイラ式排熱回収発電システムを初めて導入した。

■東部環境センター(ごみ処理施設)基幹的設備補修工事の概要
工事は、同組合が1999年4月の稼働開始から16年目を迎えた2014年に同センターの長寿命化を図るために実施されたもので、日立造船は2014年12月から老朽化した設備の基幹的補修工事を行った。ごみ焼却施設の耐用年数は20年~30年と言われているが、建設後10数年が経過した時点で基幹的設備の補修と更新工事を行うことにより、施設の延命化を図ることができる。

1.発注者:有明広域行政事務組合
2.工事名:東部環境センター(ごみ処理施設)基幹的設備補修工事
3.施設規模:工事前:ストーカ式焼却炉:70t/日=35t/16h×2炉(水噴射式)
工事後:ストーカ式焼却炉:98t/日=49t/24h×2炉(ボイラ付)
発電出力:208kW
4.施設場所:熊本県玉名郡玉東町大字木葉386番地

■本工事による主な改良点
1.「小規模ごみ焼却施設用パネルボイラ式排熱回収発電システム」の導入
本センターは従来、発電設備を設置していない施設でしたが、本工事においてパネルボイラR、蒸気タービン発電機などの発電設備を設置することにより発電可能な施設となった。なお、本システム「小規模ごみ焼却施設用パネルボイラ式排熱回収発電システム」は、先月(一社)日本機械工業連合会主催の「第37回優秀省エネルギー機器表彰」において、「日本機械工業連合会会長賞」を受賞されており、日立造船は本システムを初めて導入する。

2.運転時間の延長
本工事において、自動運転設備の向上を図ることにより、1日あたり16時間運転から24時間運転に変更となった。

■本工事による主な効果
実証運転において、次のような効果を確認できた。
1.熱回収率の向上:排ガスからの熱回収率が約2倍に向上
2.電力使用量の削減:電力使用量を約40%削減
3.CO2排出量の削減:計画を20ポイント上回る、CO2排出量の削減率約60%を達成
我が国の地球温暖化対策において、ごみ焼却施設からも、より一層のエネルギー回収が求められているが、現在、国内の全ごみ焼却施設の内、約7割の施設で発電設備がついていないとされている。日立造船は本システムによって自治体の課題解決、よりよい施設運営に貢献していく。

■「小規模ごみ焼却施設用パネルボイラ式排熱回収発電システム」について

1.開発の経緯
我が国の地球温暖化対策において、ごみ焼却施設からも、より一層のエネルギー回収が求められている。しかしながら既存施設の7割は発電を行わない施設で、そういった施設を発電施設に改造しようとすると、改造コストが高くなることと運転管理の複雑さが懸念され、発電化が進んでいないのが現状。日立造船は発電設備の中核機器であるボイラに的を絞り、改造コストの低減および容易な維持管理を追求し本システムの開発を行った。

2.特長
ごみ焼却施設に新たに発電設備を設置する際には、排ガス冷却方式を水噴射式からボイラによる熱回収設備に改造する必要がある。本システムは、従来の複雑な構造をしたボイラとは異なり、日立造船が開発した、4枚のパネルを組み合わせるだけで製作が可能なパネルボイラRを使用することにより、ボイラの製作費・工事費を低減することが可能となる。また、シンプルな構造かつ付属設備が少ないため、導入後のメンテナンスや運転も容易となる。

3.効果
焼却能力が90t/日において、ガス冷却室による冷却設備をパネルボイラRによる熱回収設備に変更した場合、排ガスからの熱回収率は約2倍以上に向上し、施設運転の電力使用量は年間1,440MWh削減できる見込み。この電力使用量は、一般家庭400世帯分の年間電力消費量に相当し、年間500tのCO2削減が可能となる。

以上

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