山崎製パンは2016年11月16日、国内で28年ぶりにパン工場を新設することがわかった。200億円超を投じ、食パンや菓子パンを生産する工場を2018年に稼働させる。国内食品市場の成長が鈍化するなか、コンビニエンスストアで販売するサンドイッチなどを通じて、パンの需要拡大が続いていることに対応する。
同社は07年に冷凍パン生地の工場を設けたが、パンの最終製品での新設は1990年の愛知県安城市の工場以来となる。神戸市にある冷凍パン生地工場と同じ敷地内で年内に着工する。関西では5カ所目のパン工場で、関西での生産能力は現在より約1割高まる。
同社は90年の愛知県の工場稼働後、パンの生産能力増強では買い取った他社の工場を改修するなどして投資額を抑えてきたが、需要拡大を受けて大型投資に踏み切ることにした。
パンの需要は食生活の変化に伴って拡大している。総務省の家計調査(2人以上の世帯)では、11年に初めてパンへの支出額がコメを上回った。コンビニなどで手軽に購入できる商品が需要増をけん引している。武蔵野フーズ(埼玉県朝霞市)も15年に神戸市でセブンイレブン向けの工場を稼働させた。
調査会社の富士経済はパンの市場規模が20年に10年比で13%増の9370億円に拡大すると予想する。国内では人口が減少傾向にあるが、最大手の山崎製パンは大型投資により、数少ない伸びる市場でのシェアを高め、収益を拡大できると判断した。