・仏トランジェの試験・検証センターを次世代トラクター開発の拠点に
クラース(CLAAS):2026年9月1日
ドイツの農業機械メーカー、クラース(CLAAS)は、フランス・トランジェ(Trangé)にある試験・検証センターに、トラクター用の空調式性能試験設備を新設する。投資額は900万ユーロ(約17億円、184円換算)。2026年9月に着工し、2027年12月までの完成を予定している。多様な気候条件下で使用されるトラクターの冷却システムなどを評価し、新機種の開発・市場投入の迅速化につなげる。
トラクターの冷却システムは、機械の信頼性や効率を左右する重要な要素となる。トラクターはさまざまな気候条件で使用され、極端な高温環境なども想定する必要があるため、開発段階から大規模な試験を実施する必要がある。クラースは今回の投資を通じ、こうした試験・検証能力を強化する。
クラースCTO(最高技術責任者)のマルティン・フォン・ホイニンゲン=フーネ博士(Dr. Martin von Hoyningen-Huene)は、「新試験設備への投資により、社内の最先端試験インフラをさらに発展させる。研究開発(F&E)チームは、新型トラクターをより迅速かつ柔軟に開発・試験できるようになる」と説明する。
新設備では、開発初期段階から冷却システムの新たなコンセプトを検証できるようになる。これにより、新製品の市場投入期間短縮を図るとともに、持続可能で生産性の高い農業を支える研究開発拠点として、同試験・検証センターの機能を強化する。
■最大23万m³/hの通風量を実現
新設する性能試験設備では、加熱可能な試験室内にトラクターを設置し、PTO(動力取出し軸)ブレーキを用いて出力性能を測定する。約150個のセンサーを配置し、水系統・オイル系統の温度、冷却液流量、空気速度、エンジン周辺およびボンネット周辺の空気温度などをリアルタイムで計測する。
建屋は延床面積950㎡、高さ14m。試験設備に求められる性能から規模を設定しており、毎時15万~23万m³の通風量による試験に対応する。
試験室の直上に設置する換気設備が重要な役割を担う。試験室内の空気を入れ替えるとともに、空気を精密に制御し、温度を一定に維持する。また、試験中に発生する熱を外部へ排出する。
PTOブレーキによる測定では発電も行い、発生した電力は施設内で消費するほか、電力網への供給も可能とする。クラースによると、新設備が1年間に発電する電力量は、一般的な電気自動車(EV)を約1万1,000回充電、または洗濯機を約110万回稼働させることに相当する。
建築許可は2026年7月末に取得済み。9月に建設工事を開始し、遅くとも2027年12月までに完成させる計画である。今回の設備投資により、クラースはトラクターの冷却技術をはじめとする性能・信頼性評価能力を高め、次世代農業機械の開発体制を強化する。
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