三井E&S、AI活用のコンテナ配置計画・荷役手順、神戸港で実証開始

・日立AI×荷役シミュレーションでターミナル運用の高度化へ―

三井E&S三井倉庫日立製作所の3社は12月2日、AIを活用したコンテナターミナル運営効率化技術の開発プロジェクトにおいて、神戸港六甲RC2ターミナルで現地実証を開始したと発表した。国土交通省の港湾技術開発制度(令和5~7年度)採択案件として取り組むもので、AIによる搬出日予測や荷役計画を実運用に反映させる国内初クラスの試みとなる。

今回の取り組みは、三井倉庫が保有するターミナル運営ノウハウをベースに、日立が開発したAIが貨物特性データから最適な搬出日予測・配置計画・荷役手順を立案。さらに三井E&Sが開発した荷役シミュレータで事前検証を行い、効率性を確認した上で現地での実行に移す仕組みとなっている。実証は2025年11月より開始された。

■熟練者依存からデータ活用型運用へ

コンテナターミナルでは、貨物量増加や情報変動の高頻度化により、計画立案の複雑性が年々増している。従来は熟練者の経験に依存する部分が大きく、人材負荷や業務継承も課題となっていた。3社は今回のAI・シミュレーション活用により、作業計画立案の標準化・高度化、荷役効率の最大化、港湾運営のレジリエンス向上を図る。

発表資料によると、同技術は荷役装置の稼働効率改善だけでなく、作業順序の最適化による車両待機時間削減、港湾内混雑緩和、CO₂排出量低減など、持続可能な港湾物流体制構築にも寄与する可能性を持つとしている。

3社は、実証結果を踏まえ2026年度以降の実運用化を視野に、港湾DXモデルとして国内外への展開や他設備との連携も検討する方針。

《今後の展開視点》

・AIによる港湾業務計画の自動化・高度化
・ターミナル運営効率化による港湾処理能力向上
・労働力不足・熟練者偏在の解消
・CO₂削減・物流インフラ強靭化への寄与

港湾物流におけるDXは、機器の自動化から「運用設計の自動化」へと進化段階に入りつつある。今回の実証は、データ駆動型の港湾運営モデル構築に向けた重要なステップといえる。

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