荏原製作所、25年1〜9月売上は9.8%増の6,636億円、過去最高益を更新

荏原製作所が11月13日に発表した2025年12月期第3四半期(1〜9月)連結決算は、全ての利益項目で過去最高を記録する好調な内容となった。売上収益は6,635億5,500万円で前年同期比9.8%増、営業利益は695億4,100万円で同16.2%増となった。税引前四半期利益は662億2,700万円で同10.4%増、親会社株主に帰属する四半期利益は446億8,300万円で同8.9%増を記録した。1株当たり四半期利益は96円76銭で、前年同期の88円87銭から7.9%増加した。

業績好調の背景には、全セグメントでの増収と、エネルギー、インフラ、環境セグメントの収益力向上がある。また前年同期に建築・産業セグメントで計上したのれんの減損損失が当期は発生しなかったことも、営業利益の大幅増加に寄与した。

受注高も6,801億6,200万円で前年同期比5.7%増と堅調に推移した。環境セグメントで大型案件を獲得したことに加え、精密・電子セグメントでは生成AI向けなど半導体需要の回復により、顧客の工場稼働率上昇や増産投資の再開を受けて受注が増加した。

■ セグメント別業績
セグメント別では、建築・産業の売上収益が1,734億700万円で前年同期比0.4%増と微増にとどまったものの、営業利益は105億9,900万円と前年同期比90.9%の大幅増を達成した。エネルギーは売上収益が1,593億900万円で同9.8%増、営業利益は170億7,200万円で同11.4%増となった。

インフラは売上収益が417億4,200万円で前年同期比20.2%増、営業利益は36億6,700万円で同55.9%増と大きく伸長した。環境は売上収益が648億3,700万円で同9.5%増、営業利益は72億7,600万円で同40.5%増だった。

主力の精密・電子セグメントは売上収益が2,233億1,500万円で前年同期比16.6%増と二桁成長を遂げたが、営業利益は328億7,200万円で同2.2%減となった。半導体市場の全般的な回復により顧客の工場稼働率は上昇しているものの、増産投資の本格的な再開は想定より遅れているという。

■ 地域別の売上動向

地域別の売上動向を見ると、日本が3,262億円で前年同期比11.2%増、北米が1,311億円で同14.4%増と好調だった。一方、アジアは1,519億円と同3.3%増にとどまった。

■ 通期業績予想を上方修正

通期業績予想については、前回8月14日発表時の予想を上方修正した。売上収益は9,270億円(前回予想比270億円増)、営業利益は1,100億円(同75億円増)、税引前利益は1,053億円(同38億円増)、親会社株主に帰属する当期利益は740億円(同16億円増)とした。

上方修正の主な要因は、環境セグメントにおける受注高の増加と、環境及び精密・電子セグメントにおける売上収益と営業利益の増加である。

同社は米国の関税等の政策動向、米中対立による半導体輸出管理規制強化、ウクライナや中東情勢の長期化といった不透明要因を認識しているものの、現時点で想定される米国の関税政策による業績への影響は限定的と見込んでいる。

2025年12月期第3四半期決算短信

決算説明会資料